仮想通貨の税金・確定申告と節税のためのノウハウ
この記事では、仮想通貨の税金・確定申告と節税のためのノウハウをご紹介します。
仮想通貨の取引において、ネックの1つになるのが税金です。
どのくらい利益出したかによりますが、仮想通貨の利益の半分近くが税金で持っていかれる場合もあります。
税金を払うのは国民として当然の義務だと思います。
ですが、法律の範囲の中で賢く節税する方法があるならば、しっかりと理解しておきたいところです。
今まで確定申告をされていなかったサラリーマンの方は、仮想通貨をいい機会として、税金のことを勉強してもらえればと思います。
それでは、詳しく見ていきましょう。
そもそも確定申告とはなにか?
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間で発生した所得金額から、国に納める所得税の金額を計算し、納税の手続きをすることです。
納税までの手続きを自己申告で行うことから、確定申告と呼ばれているわけですね。
サラリーマンの方にとっては、「確定申告ってなんだ?」という感じですよね。
なぜならば、あなたの確定申告や納税手続きは、今まで会社が全て代行してやってくれていたからです。
毎年年末になると「年末調整」の書類を書いていませんか?
年末調整は、あなたが本来国に納めるべき所得税額の過不足を計算する書類だったのです。
今まで確定申告に無縁だった方も、これを機会にしっかり向き合っていただければと思います。
そもそも税金(所得税・住民税)の仕組みはどうなっているか?
税金といっても色んな種類がありますが、ここで話しているのは「所得税」と「住民税」のことです。
サラリーマンならば、会社からいただいたお給料(給与所得)、個人事業主ならば事業所得から引かれる税金です。
所得税の計算方法
所得税の金額は、以下の式で計算できます。
上の式の通り、所得税は所得金額(給与所得や事業所得など)から一定の控除額を差し引いたものに、税率をかけたものとなります。
控除額と税率は、以下の表の通り、所得金額の大きさに応じて変わってくるのです。
ですから、儲かれば儲かるほど、たくさん税金を払わなければならないというのが、いまの所得税の仕組みなのです。
住民税の計算方法
住民税の計算は、以下の式で計算できます。
所得税と異なり、どれだけ儲かろうと税率は10%で固定となります。
所得税の税率は最大で45%なので、住民税と合わせると55%もの税率が課されることになります。
稼いだお金のうち、半分以上が税金で持っていかれることになるのです。
仮想通貨で得た利益は「雑所得」扱いになる
仮想通貨で利益を得た場合、その利益は「雑所得」というものに分類されます。
雑所得は「総合課税」の対象になるので、給与所得など他の所得と合算した金額で税率が決まります。
例えば、年収800万円のサラリーマンの場合、給料以外の収入がなければ、所得税の税率は23%になります。
しかし、給料以外に仮想通貨で150万円稼いだとしたら、年収800万円との合計(950万円)から、税率が33%まで上がってしまいます。
サラリーマンが副業的に仮想通貨の取引しているならば、「20万円以上の利益が出た場合」に確定申告が必要になります。
2017年のように、億り人がこれから量産されるようなことはないかもしれません。
しかし、仮想通貨の価格は今後も上がる可能性はあるので、今のうちに節税対策を考えておいたほうが良いです。
サラリーマン、個人事業主、すべての方が節税対策を考えておくべきです。
確定申告の無申告は厳禁!後で痛いペナルティが待っている
確定申告は、毎年2月16日から3月15日の間に行わなければなりません。
会社の年末調整のように、誰かが納税を代行してくれるわけではありません。
日本の税金は申告制度なので、自分で税務署に行って申告を行い、自分で納税する必要があります。
確定申告をしないでそのまま放置していると、後からペナルティとして追加で税金を徴収されます。
しかも、先延ばしにすればするほど、その税額は大きくなります。
それでは、どのようなペナルティが課されるのか、具体的に見てみましょう。
無申告によるペナルティ①:無申告加算税
期限内に確定申告を行わなかった場合に課される税金です。所得税の金額に応じて、無申告加算税の税率も変わってきます。
・所得税が50万円以内の場合:所得税×10%
・所得税が50万円超えの場合:所得税×15%
仮にあなたが60万円の所得税を期限内に払わなかったとします。そうなると、無申告加算税の計算は以下の通りになります。
600,000×0.15=90,000円
所得が大きい人ほど、注意が必要です。
無申告によるペナルティ②:延滞税
もし納付期限の3月15日に間に合わなかった場合、延滞税がかかります。延滞税の金額は、以下の式の通りです。
本来納付すべき所得税額×延滞税の割合×滞納日数÷365日
滞納日数が長ければ長いほど、延滞税の金額は大きくなります。
延滞税の割合も、期限を過ぎてから2ヶ月以内に納付するか、2ヶ月を過ぎてから納付するかで変わってきます。
ですから、仮に申告期間に間に合わなかったとしても、できる限り早く納税を済ませておきたいところです。
まあ、期限内に納付を済ませるのが一番ですけれどもね。
仮想通貨の所得の計算方法
仮想通貨の利益ってどのようなイメージですか?
仮想通貨を安いタイミングで買い、高くなったら売る。
そうすれば、値上がりした分が利益となります。
しかし、そういった売却益だけが仮想通貨の利益のすべてではありません。
どんな場合に仮想通貨が利益扱いになるのかは、2017年12月1日に国税庁より公開された「仮想通貨に関する所得の計算方法について(情報)」に全て記載されています。
仮想通貨が利益になるのは、以下の3つのパターンに分けられます。
- 仮想通貨を売却する
- 仮想通貨で商品を購入する
- 仮想通貨を別の仮想通貨に交換する
仮想通貨で商品を購入する場合も利益扱いになるのは、意外ですよね。
もしあなたがビットコインで大きな買い物をした経験がある場合には要注意です。
今はビックカメラのようにビットコインで決済を行うお店も増えていますからね。
仮想通貨取引に関する3つの節税ノウハウ
さて、これまで確定申告と仮想通貨の税金について話をしてきました。
仮想通貨で儲かったとしても、税金がたくさん取られます。
税金をたくさん取られるからと言って、確定申告しないのはNGです。
ただでさえ沢山税金が取られるのですから、ちょっとでも節税して、利益を手元に残しておきたいと思うはずです。
そこで、仮想通貨取引に関する節税のノウハウを3つご紹介します。
仮想通貨取引に関する節税ノウハウ①:個人事業主として開業する
この節税方法は、主にサラリーマンの方に読んでいただきたいものです。
すでに個人事業主として開業されている方、会社設立されている方は、読み流してください。
もしあなたがサラリーマンで、仮想通貨取引を副業的にやっているならば、個人事業主として開業できる可能性はあります。
その場合、仮想通貨で得た利益は「雑所得」ではなく「事業所得」の扱いになります。
仮想通貨の利益が事業所得になると、節税の面でさまざまなメリットがあります。
それを今から解説していきます。
個人事業主として開業するメリット(その1):青色申告で65万円の控除が受けられる
個人事業主として開業すると、必ずやることになるのが確定申告です。
確定申告のやり方には、「白色申告」と「青色申告」の2つがあります。
この記事で確定申告の詳細は説明しませんが、「青色申告」の方が節税の面では圧倒的に有利です。
何故ならば、青色申告することで、65万円分の控除が受けられるからです。
これによって、所得税の税額を安く抑えることができます。
個人事業主として開業するメリット(その2):仮想通貨取引にかけたコストを経費にできる
仮想通貨取引をするとなると、色々なコストが掛かります。
例えば、以下のようなお金の使い方をしたことありませんか?
・仮想通貨の勉強のために本を買ったりセミナーに参加したりした
・仮想通貨の取引のためにパソコンを購入した
仮想通貨の利益が事業所得になると、これらが経費として計上できるようになります。
そうなれば、経費の分だけ所得金額を少なくできるので、税額・税率も小さくなる可能性があります。
個人事業主として開業するメリット(その3):仮想通貨取引で損したら給与所得と損益通算できる
仮想通貨の取引で損をすることなんてザラにあります。
それでは、最終的に利益どころか損失になってしまった場合にはどうすればよいのでしょうか?
事業所得の場合には、給与所得などと損益通算ができます。
つまり、給与所得から仮想通貨取引の損失分を引いた額から、税率を計算するのです。
仮想通貨の利益が「雑所得」扱いになると、残念ながら損益通算はできません。
個人事業主として開業するメリットその4:赤字を最大3年間繰り越しできる
例えば、年収400万円の人が、貯金1,000万円をすべてビットコインにつぎ込んだとします。
購入した直後にビットコインが暴落し、700万円の損失が出たとします。
そうなると、その年は300万円の赤字になります。
すると、翌年の課税対象額は、年収400万円から赤字300万円分を引いて100万円となります。
赤字の金額は、翌年以降に繰り越すことができ、節税効果につながります。
そもそも仮想通貨取引を「事業所得」扱いにできるのか?
ここまで個人事業主として開業することで、さまざまなメリットが受けられることを話しました。
ここで考えてもらいたいのが、そもそも仮想通貨取引が事業として認められるのかどうかです。
今までメリットを説明してきてなんだと思わないでください。
仮想通貨の税制は完全に整備されたわけではないですし、事業として認められたケースも聞いたことがありません。
過去の最高裁の判例で、事業所得の要件が以下のように定義されています。
事業所得とは、自己の危険と計算において独立して営まれ、
- 営利性・有償性の有無
- 継続性・反復性の有無
- 自己の危険と計算における事業遂行性の有無
- その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度
- 人的・物的設備の有無
- その取引の目的
- その者の職歴・社会的地位・生活状況
などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断する
これを読んでも、何のことだか分からないと思います。
上記の判例から、仮想通貨取引が事業所得と認められるためのポイントを4つにまとめてみました。
- 仮想通貨取引で継続的に利益を出し続けられるかどうか
- 仮想通貨取引を、事業として時間を割いて取り組んでいるかどうか
- 仮想通貨取引のために、人を雇ったり設備投資をしているか
- 事業として仮想通貨取引に本気で取り組んでいるか
簡単にいえば、あなたが仮想通貨取引を事業として取り組み、それだけで飯を食っていけるくらい稼げるならば、事業所得として認められる可能性は高いというわけです。
そうは言っても、本当に事業所得として認められるかどうかは、専門家に聞いてみないと分かりません。
私の話を鵜呑みにすることなく、仮想通貨に詳しい税理士に一度相談してみることをおすすめいたします。
仮想通貨取引に関する節税ノウハウ②:法人を設立する
仮想通貨取引は、法人名義で行うこともできます。
すでに会社を設立されている方ならば、個人でやるよりも法人で仮想通貨取引を行ってみるのもよいかもしれません。
イーサリアムを資本金にして会社設立されているところもあるくらいです。
仮想通貨取引のためだけに法人を設立するのは、やめておいたほうがよいかもしれません。
法人で仮想通貨取引をすると、個人で取引するよりも節税の恩恵を受けられますが、それ以外のデメリットがあることも考えなければなりません。
仮想通貨取引を、法人で行うメリット・デメリットを説明していきたいと思います。
法人で仮想通貨取引するメリット(その1):利益が大きい場合、個人よりも税負担が小さくなる
個人で仮想通貨取引をする場合、利益は雑所得扱いになり、儲かれば儲かるほどたくさんの税金が取られるという話をしました。
最大で55%(住民税も含む)もの税金を収めなければならないという状況です。
しかし、法人に課される税金(法人税・住民税・事業税)の税率は、最大で30%台前半であり、個人に課される税率に比べて圧倒的に低いです。
もちろん、これは仮想通貨である程度儲かっていることが前提となります。
法人で仮想通貨取引するメリット(その2):損益通算ができる
仮想通貨の事業で損失が出たとしても、別の事業との損益通算ができます。
また、赤字分は翌年以降も繰越が可能であり、最大で9年間繰り越すことができます。
法人で仮想通貨取引するメリット(その3):個人よりも節税方法の幅が広がる
法人で仮想通貨取引を行うことで、個人のときよりも節税方法の幅が広がります。
節税方法の具体例として、以下のような方法があります。
- 自分や役員、従業員への報酬を給与として支払う
- 出張旅費などを計上する
- 賃貸アパート・マンションを社宅として借り上げる
法人で仮想通貨取引するデメリット(その1):法人の設立・維持コストがかかる
法人の設立・維持だけで、多額のコストがかかります。
まず、法人の設立だけ20万円以上かかります。
法人の決算や税務申告を税理士に任せるとなると、彼ら顧問料を支払わなければなりません。
また、法人が赤字の場合でも、住民税を7万円毎年払う必要があります。
そう考えると、仮想通貨でしっかりと利益を出していなければ、コストが上回ってかえって損になります。
法人で仮想通貨取引するデメリット(その2):利用できる仮想通貨取引所が限られる
日本国内だけで仮想通貨取引所は14社あります(金融庁に登録済みの仮想通貨取引所)。
しかし、すべての仮想通貨取引所で法人口座を開設できるわけではありません。
仮想通貨取引所によって、取り扱ってる銘柄、取引手数料など特徴が異なります。
もしお目当の仮想通貨取引所で法人口座を受け付けていないならば、個人で取引をせざるを得ないですね。
法人口座を開設できる仮想通貨取引所
法人口座を開設できる国内の仮想通貨取引所は、全部で7社あります。
- bitFlyer(ビットフライヤー)
- Zaif(ザイフ)
- coincheck(コインチェック)
- bitbank(ビットバンク)
- QUIOINEX(コインエクスチェンジ)
- FISCO仮想通貨取引所
- ビットポイント
仮想通貨取引に関する節税ノウハウ③:各種控除を利用する
仮想通貨取引で節税するためのノウハウを、個人と法人の2パターンで説明してきました。
ここから説明するのは、各種の税金控除の方法です。
これらの節税ノウハウは、知識としてしっかりと身につけておけば、仮想通貨以外でも活かせます。
それでは、詳しく見ていきましょう。
税金控除による節税方法(その1):ふるさと納税による寄附金控除を利用する
ふるさと納税は、地方自治体に収める寄付金のことです。
ふるさと納税をすることにより、医療費控除などの同じように寄附金控除として所得から差し引かれ、所得税と住民税の節税につながります。
どの自治体に寄付をしてもよいですし、寄付した自治体の特産品ももらえる上に、税金の控除にもつながるというお得な制度です。
自己負担金として2,000円を支払う必要があり、2,000円を超えた分の寄付額が控除の対象になります。
ですから、10,000円寄付したら8,000円分、25,000円寄付したら22,000円分が控除されるというイメージです。
注意すべき点は、控除額には上限があるという点です。
あなたの年収と家族構成によって控除額の上限が変わってきます。
ふるさと納税をいくら納めることができ、いくら控除になるのかは、ふるさとチョイスにてシミュレーションできます。
興味のある方は、試してみてください。
ふるさと納税は節税につながるという話をよく聞きますが、厳密には節税ではありません。
本来、自分の住んでいる市町村に収めるべき税金を、他の自治体への寄付金に振り替えているだけに過ぎません。
お金を払っていることに変わりはありませんし、ふるさと納税で支出が減るわけでもありません。
「どうせお金を払うならば、自分の好きな自治体にお金を収めることができるし、特産品までもらえるからラッキーだよね」と思える人ならば、活用してもよいと思います。
税金控除による節税方法(その2):個人型確定拠出年金(iDeco)の掛金控除を利用する
個人型確定拠出年金(iDeco)は、個人事業主や企業年金に加入していない会社員が加入できる年金制度です。
掛金を設定し毎月掛金を支払うことで、定年後に自分の年金として受け取ることができるようになります。
個人型確定拠出年金(iDeco)は、個人事業主や企業年金に加入していない会社員が加入できる年金制度です。
掛金を設定し毎月掛金を支払うことで、定年後に自分の年金として受け取ることができるようになります。
掛け金には上限があるものの、支払った金額分がすべて控除の対象となるので、かなりの節税効果があります。
デメリットとしては、60歳を過ぎるまで掛け金を引き出せないことです。
ですから、今すぐまとまったお金が必要、という場面を考えるならば、個人型確定拠出はあまりおすすめできません。
そのような方には、次に説明する「小規模企業共済」利用することをおすすめします。
税金控除による節税方法(その3):小規模企業共済の掛金控除を利用する
小規模企業共済は、名前の通り「小規模企業」や「個人事業主」の方のための共済制度となります。
彼らにはサラリーマンのような退職金制度はないですから、自分たちの退職金を自分で準備しなければなりません。
小規模企業共済で毎月掛金を支払い続けることで、退職後に積み立ててきた掛金を受け取ることができます。
掛金は、毎月1,000円から70,000円の範囲で設定できます。
掛金は全額控除となるので、個人事業主や小規模企業の経営者の節税方法としては一番おすすめの方法かもしれません。
中途解約してお金を引き出すこともできますが、加入12ヶ月未満だと掛け捨てとなり、20年未満だと元本割れとなる点は注意が必要です。
節税のためとはいえ、むやみやたらと掛金を増やすことはおすすめしません。
まとめ
仮想通貨の税金・確定申告、節税のためのノウハウについて説明してきました。
仮想通貨の税金は、現状では儲かれば儲かるほどたくさん税金が取られるという仕組みです。
ある程度、利益が出始めたら税金のことを真剣に考え始めた方がよいと思います。
サラリーマンの場合は20万円以上の利益が出た場合に確定申告が必須です。
利益を出したならば、納税すると腹をしっかりと決めましょう。
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